Winds
風は何処から吹いてくるのだろう。
それを探るかの如く人は自分の存在が何たるかを想い、示された道を遮られること無くその流れに身を任せた。
花は何処から生まれ、散った花弁はどこに消えるのだろう。
命を授かり生まれ出でてから此の方、人はその輪廻を紐解いたことは無い。
詩は何を語るのだろう。
人の思いは複雑に絡み合い、誠の気持ちを表すには少々時間がかかる。
果てない空を統べるものは何だろう。
そんな大それたことを考えるよりも人は、まず頭上にに広がる青い空に手を伸ばした。
巡り巡るは縁の連鎖。
連なる鎖は関係を縛るものではなく、一つ一つ繋ぎ合わされた一本の道筋という名の生き方。
それは選べないものかもしれないけれど、結局決めるのは己の気持ち。
この緑広がる小さな小さな世界が集まったこの場所で、俺達は出会い生まれた。
それが誰もが経験する奇跡。
俺達はこうして今まで此処まで生きてきた。
だけどまだまだ全てを語れたわけではない、始まりに過ぎないのだと心の隅で悟った。
物語はきっとまだ続くのだと。
俺は、まだ君に話していないことがある。